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磁石と磁極

棒磁石を半分に切ると、N極とS極をそれぞれ持つ2つの磁石になります。

北を指す極と南を指す極

棒磁石を糸でつるして自由に回るようにすると、一方の端がおよそ北を向きます。この端をN極、より正確には北を指す極といい、反対の端を南を指す極、S極といいます。棒形、馬蹄形、輪形、冷蔵庫に貼る薄いシート形など、どんな形の磁石にも両方の極があります。磁石が物を引きつける力は磁極で最も強くなります。そのため、クリップは棒磁石の両端に集まり、中央にはほとんどつきません。

2つの磁石を近づけたときの規則は簡単です。同じ極どうしは反発し、異なる極どうしは引き合います。N極とN極、S極とS極は反発し、N極とS極は引き合います。電荷にも似た規則がありますが、大きな違いが1つあります。次の節で見てみましょう。

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N極とS極を向かい合わせた2本の棒磁石です。磁力線は一方から他方へつながり、磁石は引き合います。右の磁石を反転してN極どうしを向かい合わせ、間で方位磁針を動かしてみましょう。

磁極だけを取り出すことはできません

正の電荷と負の電荷は分けられます。風船をこすると、それだけで負の電荷を余分に持つことができます。しかし、磁極は切り離せません。N極とS極を分けようと棒磁石の中央を切っても、それぞれの切り口に新しい極が一つでき、各半分が両方の極を持つ磁石になります。切り続けても同じで、鉄の原子1個にまで小さくしてもN極とS極があります。太陽の黒点は、磁極が反対の対として現れることがよくあります。

単独で存在する磁極を磁気単極子といいます。まだ見つかっておらず、物理学者は今も探しています。磁極は常に対で現れるため、現在は、あらゆる磁気は動く電荷から生じると考えられています。原子内の電子のスピンや運動、導線を流れる電流などです。第4単元では、電流を使って磁石を作ります。

上:磁石を2つに切ると、2つの磁石になります。下:同じ極は反発し、異なる極は引き合います。

磁石につく金属が限られる理由

冷蔵庫用の磁石は鋼鉄のドアにはつきますが、アルミニウムの鍋や銅の硬貨にはつきません。磁石に強く反応する物質はわずかです。こうした性質を強磁性といいます。英語のferromagneticは、鉄を意味するラテン語ferrumに由来します。鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウムや、鋼などの合金が強磁性を示します。ネオジムなどの希土類元素を含む一部の合金は、広く使われている永久磁石の中でも特に強力です。他の物質も磁石に反応しますが、その反応は非常に弱く、精密な測定器でなければわかりません。

鉄の内部には磁区という小さな領域があります。各磁区の中では、小さな磁石である原子が同じ向きにそろっています。ただし磁区どうしの向きはばらばらなので、全体の効果は打ち消し合います。磁石を近づけると、その向きにそろう磁区が成長し、ときにはミリメートルほどになり、他の磁区は縮みます。鉄は磁石になり、近づけた磁石に異なる極を向けるため、引き寄せられます。加熱や強い衝撃で磁区の向きは再び乱れます。キュリー温度という温度を超えると、鉄は強磁性を失い、常磁性体になります。鉄の場合は770 °C(1043 K)です。

背景1600年、イギリスの医師ウィリアム・ギルバートは、自らの磁石の実験をまとめた『De Magnete』を出版しました。天然磁石を球形に削り、その表面で小さな磁針を動かすなどして、地球そのものが大きな磁石のように振る舞うと主張しました。それ以前にも地球と方位磁針の関係を考えた人はいましたが、はっきり述べたのはギルバートの本が初めてでした。第3単元では、この考えをたどります。
磁石のN極自由につるした磁石で北を指す端
磁極の規則同じ極は反発し、異なる極は引き合う
強磁性磁石に強く反応する性質:鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウム
磁区原子の磁石が同じ向きにそろう領域
鉄のキュリー温度770 °C (1043 K)
磁気単極子単独で存在する磁極。未発見
ポイント
  • どの磁石にも、北を指すN極と南を指すS極があります。
  • 同じ極は反発し、異なる極は引き合います。
  • 磁極は分けられません。磁石を切ると2つの磁石になります。
  • 鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウムは強磁性を示し、磁石の近くでは磁区の向きがそろいます。
  • キュリー温度(鉄では770 °C)を超えると、鉄は強磁性を失います。
  1. 2つのN極を近づけると、どうなりますか?
    • 反発する
    • 引き合う
    • 何も起こらない
    • S極になる
  2. N極とS極を近づけると、どうなりますか?
    • 引き合う
    • 反発する
    • 何も起こらない
    • 位置が入れ替わる
  3. 棒磁石を半分に切ると、何ができますか?
    • N極とS極をそれぞれ持つ2つの磁石
    • 単独のN極と単独のS極
    • 磁性のない金属片2つ
    • 磁石1つと普通の鉄片1つ
  4. 磁石に強く引きつけられない金属はどれですか?
    • アルミニウム
    • 鉄
    • ニッケル
    • コバルト
  5. 英語のferromagneticの語源となったラテン語は、何を意味しますか?
    • 鉄
    • 石
    • 北
    • 磁石
  6. 鉄のキュリー温度は1043 Kです。°Cではいくつですか?(小数第1位まで。273.15を使ってください)
  7. 磁化していない鉄のくぎが磁石につくのはなぜですか?
    • 磁区の向きがそろって磁石になり、近づけた磁石に異なる極を向けるから
    • もともと永久的なN極があるから
    • 鉄が正に帯電しているから
    • 磁石がくぎを温めるから
  8. まだ観測されたことがないものはどれですか?
    • 磁気単極子
    • S極
    • 馬蹄形磁石
    • 磁区
  9. 磁石を強く加熱すると、どうなりますか?
    • 磁区の向きが乱れ、磁力が弱まる
    • 磁力が強まる
    • 極が入れ替わる
    • 銅になる
  10. ギルバートが『De Magnete』を出版したのは何年ですか?
    • 1600
    • 1492
    • 1687
    • 1820
このコースの出典 (16)
  • OpenStax College Physics 2e (openstax.org/books/college-physics-2e): 22.1 Magnets (all magnets have N and S poles, north-seeking and south-seeking, like poles repel and unlike attract, poles cannot be separated, the magnetic pole near the geographic North Pole is a south magnetic pole, sunspots come in N/S pairs)
  • 22.2 Ferromagnets and electromagnets (iron, cobalt, nickel, gadolinium; neodymium alloys; domains grow to millimetre size; Curie temperature of iron 1043 K (770 °C); Oersted saw a compass needle deflected by a current; electromagnets in scrapyard cranes, particle accelerators and MRI; electric current is the source of all magnetism; no monopoles observed)
  • 22.3 Magnetic fields and field lines (direction = where a compass north end points; four rules: tangent, density = strength, never cross, closed loops from N to S outside)
  • 22.7 Magnetic force on a current-carrying conductor (F = I l B sin θ, 1 T = 1 N/(A·m), example 20.0 A, 5.00 cm, 1.50 T gives 1.50 N; motors)
  • 22.9 Magnetic fields produced by currents (Oersted 1820, right hand rule 2, B = μ0 I ÷ (2π r), μ0 = 4π × 10⁻⁷ T·m/A, Earth's field about 5.0 × 10⁻⁵ T, 25 A at 5.0 cm gives twice that; loop centre B = N μ0 I ÷ 2R; solenoid B = μ0 n I, 2000 loops over 2.00 m with 1600 A gives 2.01 T, MRI; ferromagnetic cores)
  • 23.1 Induced emf and magnetic flux (Faraday's iron-ring apparatus, emf only while the field changes, magnet pushed into a coil, faster motion gives more emf, generators, Φ = B A cos θ)
  • NIST CODATA 2022 vacuum magnetic permeability μ0 = 1.25663706127(20) × 10⁻⁶ N/A² (physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?mu0)
  • NOAA NCEI Geomagnetism Frequently Asked Questions (ncei.noaa.gov/products/geomagnetism-frequently-asked-questions): field like a dipole at Earth's centre, over 90% from the outer core, intensity roughly 25,000 to 65,000 nT (0.25 to 0.65 gauss)
  • 1 gauss = 100,000 nT, declination = angle between magnetic north and true north (east positive)
  • inclination, dip poles, dipole axis 9.41° from the rotation axis (WMM2020, 2020.0)
  • north magnetic pole moving about 55 km per year north-northwest (2001 and 2007 surveys)
  • last reversal about 750,000 to 780,000 years ago, reversals spaced 5 thousand to 50 million years, a reversal would take several thousand years, models renewed every five years, blackout zones where H < 2000 nT, compass balance weights differ by hemisphere, true bearing = magnetic bearing + declination
  • NOAA NCEI news "World Magnetic Model 2025 Released" (17 December 2024)
  • NOAA NCEI "December 2025 State of the Geomagnetic Field" (north dip pole 36 km/yr and south dip pole 9 km/yr since 1 January 2025)
  • USGS, "Pre-gilbertian conceptions of terrestrial magnetism" (pubs.usgs.gov/publication/70009843): Gilbert's De Magnete (1600) first suggested that Earth behaves as a great magnet. Royal Institution, Michael Faraday's ring-coil apparatus (rigb.org): made August 1831, success on 29 August 1831, the first electric transformer
  • APS News "This Month in Physics History" (Aug 2001): Faraday's electromagnetic rotation experiments of September 1821, the principle behind the electric motor.

確認日: 2026-10-17