ニュートンの運動の三法則
質量1,200 kgの車を3 m/s²で加速させるには、3,600 Nの合力が必要です。
第一法則:物体はそれまでの運動を続けます
机の上で本を滑らせると、やがて止まります。長い間、人々は動く物体は自然に止まり、動かし続けるには押し続けなければならないと考えていました。ガリレオの見方は違いました。『Two New Sciences』(1638年)で、完全に滑らかでどこまでも続く水平面を転がる球を想像し、球は永久に転がり続けると論じたのです。本が止まるのは摩擦が働くからであり、止まることが自然だからではありません。
アイザック・ニュートンは1687年の『Principia』で、これを三つの法則の第一に据えました。OpenStaxの表現では、物体は外力の合力を受けない限り、静止していれば静止を、運動していれば一定の速度での運動を続けます。それまでの状態を保とうとする性質を慣性といい、その大きさを表すのが質量です。荷物でいっぱいの買い物カートが空のカートより動かしにくく、止めにくいのは、慣性が大きいからです。シートベルトが必要なのも第一法則によります。車が急停止しても、体は何かに押し戻されるまで前に動き続けるのです。
第二法則:F = m a
第二法則は、物体に働く力がつり合わないとき、どれほど加速するかを表します。加速度は合力と同じ向きで、合力に比例し、質量に反比例します。式はa = Fnet ÷ mで、通常はFnet = m aと書きます。2 kgの台車に10 Nの合力を加えると、加速度は5 m/s²です。1,200 kgの車を3 m/s²で加速させるには、3,600 Nが必要です。大切なのは合力です。5 kgの箱を50 Nで押し、摩擦が逆向きに20 N働くなら、合力は30 Nで、加速度は6 m/s²になります。
第二法則から、どの物体も同じ加速度で落下する理由もわかります。重い物体ほど大きな重力を受けますが、加速させる質量も大きくなり、両者がちょうど打ち消し合います。a = m g ÷ m = gです。
第三法則:力は対になって働きます
ある物体が別の物体を押したり引いたりすると、相手も同じ大きさで反対向きの力を返します。泳ぐ人が水を後ろへ押すと、水はその人を前へ押します。ロケットがノズルから熱いガスを噴き出すと、ガスはロケットを上へ押します。押す相手として空気は必要ありません。宇宙でもロケットが進めるのはこのためです。歩くときは、足が地面を後ろへ押し、地面が足を前へ押します。
対になる二つの力は別々の物体に働くので、互いに打ち消し合うことはありません。ここがよくある間違いです。馬が荷車を引くと、荷車も同じ強さで馬を逆向きに引きます。それでも動けるのは、馬が加速するかどうかは、地面がひづめを押す力も含め、馬に働くすべての力で決まるからです。
サッカーボールを一度蹴るだけでも、三つの法則を確かめられます。蹴る前のボールは、合力が働かないので静止しています(第一法則)。足が触れる短い間、足がボールを押し、強く押すほどボールの加速度は大きくなります(第二法則)。同時にボールも足を同じ強さで押し返すので、つま先に衝撃を感じます(第三法則)。足を離れた後は重力と空気の力だけが働き、「運動」のコースで学んだ投射運動の軌道を描きます。
第一:合力がゼロなら速度は変わりません。第二:F = m a。第三:力には、別の物体に働く同じ大きさで反対向きの相手の力があります。
- 1638: ガリレオが、滑らかで果てしない平面を永久に転がる球について述べます。
- 1687: ニュートンが『Principia』で運動の三法則を発表します。
- 1713: 訂正を加えた『Principia』第2版が刊行されます。
- 1726: ニュートンが承認した最後の版である第3版が刊行されます。
- 第一法則:合力がゼロなら速度は変わりません(慣性)。
- 第二法則:F_net = m a。
- 第三法則:力は、別々の物体に働く、大きさが等しく向きが反対の対になります。
- 2 kgの台車に10 Nの合力が働きます。加速度は何m/s²ですか?
- 1,200 kgの車を3 m/s²で加速させる合力は何ニュートンですか?
- 5 kgの箱を50 Nで押し、摩擦が逆向きに20 N働きます。加速度は何m/s²ですか?
- 20 Nの力で物体に4 m/s²の加速度が生じます。質量は何kgですか?
- 車が急ブレーキをかけると、体が前につんのめります。どの法則で説明できますか?
- 第一法則
- 第二法則
- 第三法則
- ロケットが宇宙で加速できるのは、なぜですか?
- 空気を押すからです
- 噴き出したガスがロケットを押し返すからです
- 宇宙には重力がないからです
- 第三法則で対になる二つの力は、なぜ打ち消し合わないのですか?
- 大きさが違うからです
- 別々の物体に働くからです
- 片方が必ず摩擦だからです
- 慣性が大きいのはどちらですか?
- 荷物でいっぱいの買い物カート
- 空の買い物カート
- どちらも同じです
- パックが氷上を一定の速度で滑っています。パックに働く合力はどうなっていますか?
- 進む向きに働いています
- ゼロ
- 後ろ向きに働いています
- 同じ質量に働く合力を2倍にすると、加速度はどうなりますか?
- 半分になります
- 同じです
- 2倍になります
このコースの出典 (10)
- OpenStax College Physics 2e, chapter 4 (Newton's laws)
- 5.1 (Friction, Table 5.1 coefficients)
- 5.2 (Drag)
- 7 (Work and energy)
- 16.4 (The simple pendulum, worked example 75.000 cm and 1.7357 s) (openstax.org/books/college-physics-2e)
- NIST CODATA standard acceleration of gravity 9.80665 m/s² and Newtonian constant of gravitation (physics.nist.gov/cuu/Constants)
- NASA Moon and Mars Fact Sheets (surface gravity 1.62 m/s²; Mars 3.69 to 3.73 m/s²; Earth GM 0.39860 × 10⁶ km³/s², mean radius 6371 km; Earth surface acceleration 9.78 equator, 9.83 pole) (nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/)
- Newton, Philosophiae Naturalis Principia Mathematica (1687)
- Galileo, Two New Sciences (1638)
- American Physical Society, "Christiaan Huygens Patents the First Pendulum Clock" (aps.org/apsnews/2017/06/huygens-patents-first-pendulum-clock).
確認日: 2026-10-17