自然選択
オオシモフリエダシャクの黒い型は1811年にイギリスで初めて見つかり、その後の150年ですすに覆われた森に広がりました。
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オオシモフリエダシャク
オオシモフリエダシャク(Biston betularia)は、昼のあいだ木の幹にとまっています。1800年代までは、イギリスのオオシモフリエダシャクのほとんどが灰色と白のまだら模様をした明るい色で、この型はtypicaと呼ばれます。1811年、黒い型のcarbonariaがイギリスで初めて見つかりました。その後の150年で、工場の煙で木が黒くなった地域では黒い型が急速に広がり、汚れていない田園地帯では明るい型のほうが多いままでした。交配実験から、この色は一つの遺伝子で決まり、明るい色の対立遺伝子と黒い色の対立遺伝子があることがわかっていました。
1950年代、バーナード・ケトルウェルは、選択をしているのが鳥だという考えを確かめました。明るい色と黒い色のガ数百匹に印をつけて森に放し、2日後にライトトラップで再び捕まえようとしたのです。汚染された森では黒いガのほうが多い割合で戻ってきて、きれいな森では明るいガのほうが多い割合で戻ってきました。背景に溶けこむガほど食べられにくかったのです。汚染された場所で動物が黒くなるこの現象は工業暗化と呼ばれ、ほかの種でも見られています。
実験室のしくみ
この実験室では、架空の甲虫を使います。体色は0(淡色)から4(黒色)までの5段階で、樹皮も同じ5段階のどれかです。各世代で、甲虫が生き残る確率は1 − 選択圧 × (差 ÷ 4)です。差とは、体色が樹皮の色から何段階離れているかです。すすけた樹皮(4)で選択圧が50パーセントのとき、黒色の甲虫は差が0なので必ず生き残り、中間色の甲虫(2)は1 − 0.5 × 2 ÷ 4 = 75パーセントの確率で、淡色の甲虫は50パーセントの確率で生き残ります。生き残った甲虫は、また100匹になるまで子をつくります。子はそれぞれ親と同じ体色になりますが、突然変異率の確率で、1段階明るいか暗い色になります。数値は学習用に作ったものですが、しくみはガの場合と同じです。
何回か試してみましょう。選択圧が0なら色は関係なく、集団をどこかへ押しやるものはありません。選択圧100パーセント、突然変異率0では、樹皮に合う色の甲虫が一匹もいない集団は、すでにいる中でいちばん近い色までしか進めません。選択は、今ある変異の中からしか選べないのです。突然変異率を少し上げると新しい色が次々に現れ、集団は一段ずつ樹皮の色に近づいていきます。それから樹皮をすすけた色から淡色に切り替えて、どれくらい速く元に戻るか見てみましょう。
フィンチと細菌
ガラパゴス諸島のダフネ・メジャー島では、ピーター・グラントとローズマリー・グラントたちが、毎年フィンチを測り続けています。ガラパゴスフィンチのくちばしの高さには個体差があり、それは遺伝します。エルニーニョで大雨が降ったあと、小さくやわらかい種子が豊富になり、くちばしの大きな鳥が食べる大きく硬い種子は少なくなりました。くちばしの小さな鳥のほうがよく生き残って子を残し、その後の数年で集団の平均のくちばしは小さくなりました。1987年から大きな種子が戻ってくると、この傾向は止まりました。生きているあいだにくちばしが変わった鳥は一羽もいません。平均が変わったのは、どの鳥が子を残したかによるのです。
細菌では、同じことがずっと速く起こります。抗生物質を使うと、耐性遺伝子をもたない細菌は死に、もつわずかな細菌が生き残って分裂するので、集団は耐性をもつようになります。実験から、抗生物質が耐性の突然変異を引き起こすのではないことがわかっています。変異は、多くの場合低い頻度で、もともと存在していたのです。また、進化には目標がありません。今の環境に合った形質も、環境が変われば明日には不利になるかもしれません。自然選択は、生物が実際に生きている場所と時代で役に立つものを有利にするだけです。運も関係します。完璧に周りに溶けこんだガでも、落ちてきた枝に当たることはあります。選択は、多くの個体についての平均の問題なのです。
| 適応 | 今の環境で生存と繁殖に役立つ、遺伝する形質 |
| 選択圧 | 環境がある変異体をほかの変異体よりどれだけ強く有利にするか |
| 工業暗化 | オオシモフリエダシャクのように、汚染された地域で動物が黒くなること |
| typicaとcarbonaria | オオシモフリエダシャクの明るい型と黒い型 |
| 標識再捕獲法 | 動物に印をつけて放し、再び捕まった数を数える方法 |
| 適応度 | 生物がすんでいる場所でどれだけよく生き残り、子を残せるか |
- 変異があり、遺伝し、生き残れるより多くの子が生まれれば、選択が起こります。
- オオシモフリエダシャク:黒い型は1811年に見つかり、汚染された地域に広がりました。1950年代にケトルウェルが鳥による捕食を確かめました。
- 選択は今ある変異から選び、突然変異が変異を加え続けます。
- 進化するのは集団で、個体ではありません。進化に目標はありません。
- 実験室で、選択圧は50パーセント、樹皮はすすけた色(4)です。淡色の甲虫(0)は平均で何パーセント生き残りますか。
- 選択圧60パーセント、樹皮3、甲虫の体色1のとき、何パーセントが生き残りますか。
- すすけた樹皮の上に淡色50匹と黒色50匹がいて、選択圧は50パーセントです。平均すると、生き残った甲虫の何パーセントが黒色ですか。
- 選択圧が0のとき、いちばんよく生き残るのはどの甲虫ですか。
- どの体色も同じ
- 淡色の甲虫
- 黒色の甲虫
- 中間色の甲虫
- 選択圧100パーセント、突然変異率0、樹皮はすすけた色で、淡色とやや淡色の甲虫しかいません。集団は最終的にどうなりますか。
- すでにいる中でいちばん近い色の、やや淡色ばかりになる
- すべて黒色になる
- すべて中間色になる
- 半々のまま変わらない
- 黒い型のcarbonariaがイギリスで初めて見つかったのは何年ですか。
- ケトルウェルは汚染された森で何を見つけましたか。
- 黒いガのほうが多い割合で再捕獲された
- 明るいガのほうが多い割合で再捕獲された
- ガは一匹も再捕獲されなかった
- ガが放されたあとに色を変えた
- ダフネ・メジャー島でエルニーニョのあと、ガラパゴスフィンチの平均のくちばしの大きさはどうなりましたか。
- 小さくなった
- 大きくなった
- 変わらなかった
- すべての鳥に新しいくちばしが生えた
- 抗生物質は、細菌を耐性にする突然変異を引き起こしますか。
- いいえ、すでにある変異体を選ぶだけ
- はい、毎回引き起こす
- 量が多いときだけ引き起こす
- ウイルスでだけ引き起こす
- 「食べ物が変わると、フィンチの個体はくちばしを小さく成長させる。」正しいですか、誤りですか。
- 正しい
- 誤り
- 進化は何を目指していますか。
- 何も目指していない(目標はない)
- より大きな動物
- より複雑な動物
- より賢い動物
このコースの出典 (12)
- OpenStax Biology 2e , 18.1 "Understanding Evolution", 18.2 "Formation of New Species", 19.1 "Population Evolution", 20.1 "Organizing Life on Earth" (openstax.org/books/biology-2e)
- Natural History Museum London "Who was Alfred Russel Wallace?" (nhm.ac.uk/discover/who-was-alfred-russel-wallace.html)
- "Charles Darwin: History's most famous biologist" (nhm.ac.uk/discover/charles-darwin-most-famous-biologist.html)
- "What is natural selection?" (nhm.ac.uk/discover/what-is-natural-selection.html)
- Dino Directory "Archaeopteryx" (nhm.ac.uk/discover/dino-directory/archaeopteryx.html)
- Darwin Online, Darwin and Wallace 1858 Linnean Society paper, read 1 July 1858 (darwin-online.org.uk/converted/published/1858_species_F350.html)
- University of Oxford Museum of Natural History Learning Zone "Peppered Moth natural selection experiments" (learningzone.oumnh.ox.ac.uk/peppered-moth-natural-selection-experiments)
- USGS "The Laws of Superposition and Cross-Cutting Relations" (pubs.usgs.gov/gip/fossils/laws.html) and "Geologic Time" (pubs.usgs.gov/gip/70039222/report.pdf)
- University of Chicago Shubin Lab "Tiktaalik" (shubinlab.uchicago.edu/research-2-2)
- Smithsonian Human Origins "Introduction to Human Evolution", "Genetic Evidence", "Laetoli Footprint Trails", species pages Australopithecus afarensis, Homo erectus, Homo neanderthalensis, Homo sapiens (humanorigins.si.edu)
- Extension Horses "Why can mules not reproduce?" (horses.extension.org/why-can-mules-not-reproduce)
- Britannica "archosaur" (britannica.com/animal/archosaur).
確認日: 2026-10-17