分子と吸収、その解明の歴史
消化管では1日に最大10 Lの食べ物、飲み物、消化液が処理されますが、大腸に届くのは1 L未満です。
大きな分子から小さな分子へ
パン1枚、卵1個、ひとかけのバターは見た目こそ違いますが、消化では同じように扱われます。大きな分子が、腸壁を通り抜けられる小さな構成単位に分解されるのです。NIDDKでは、主な変化を3つ挙げています。炭水化物は単糖に、タンパク質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とグリセロールに分解されます。
栄養素ごとに消化が始まる場所は異なりますが、終わる場所は同じです。デンプンの消化は口の中でだ液アミラーゼによって始まり、小腸で膵アミラーゼによって続きます。タンパク質の消化は胃のペプシンで始まり、小腸でトリプシンなどの膵酵素によって続きます。脂肪の消化は胃で舌リパーゼによってわずかに始まりますが、ほとんどは小腸で行われます。胆汁が脂肪を乳化し、膵リパーゼが分解します。炭水化物とタンパク質の消化の最終段階は、微絨毛の膜に酵素が固定されている刷子縁で行われます。
| 栄養素 | 主な酵素 | 吸収されるときの形 |
|---|---|---|
| デンプン(口の中で消化が始まる) | だ液アミラーゼ、膵アミラーゼ、刷子縁の酵素 | 単糖 |
| タンパク質(胃で消化が始まる) | ペプシン、トリプシンなどの膵酵素、刷子縁の酵素 | アミノ酸 |
| 脂肪(主に小腸で消化される) | 胆汁の助けを受けて働く舌リパーゼと膵リパーゼ | 脂肪酸とグリセロール |
腸から出る2つの経路
吸収された栄養分は2つの経路を通ります。単糖とアミノ酸は、グリセロール、一部のビタミン、塩類とともに絨毛の毛細血管へ入り、肝門脈系を通って肝臓へ運ばれます。肝臓ではそれらを貯蔵・処理し、必要に応じて送り出します。一方、脂肪酸と脂溶性ビタミンは乳び管へ入り、リンパ液中を移動した後、血液に合流します。OpenStaxでは、どの程度まで消化・吸収されるかを数値で示しています。タンパク質のほぼすべてに当たる95~98%と、脂質の約95%が小腸で消化・吸収されます。また、小腸は1時間に推定120 gの単糖を吸収できます。
どのように解明されたのか
これらの多くは、2世紀にわたる丁寧な実験によって解明されました。胃の学習ではウィリアム・ボーモントを紹介しました。1833年の著書には、アレクシス・サンマルタンの胃で行った238件の実験が記され、胃での消化が化学的な過程であるかという問いに決着をつけました。同じ世紀の後半には、ロシアの生理学者イワン・パブロフが、犬を使って消化腺を調節する神経を研究しました。消化の生理学に関する研究により、1904年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
20世紀の終わり近くにも、驚くような発見がありました。後にノーベル委員会が記したところによると、1982年当時、消化性潰瘍の主な原因はストレスと生活習慣だと考えられていました。オーストラリアのパースにいた病理学者ロビン・ウォーレンは、生検組織を調べた患者の約半数で、胃の下部に小さな湾曲した細菌がいることに気づいていました。その細菌は、いつも炎症の兆候がある場所の近くにいました。若い医師バリー・マーシャルとともに100人の患者の生検組織を調べ、マーシャルはその未知の細菌の培養に成功しました。後にヘリコバクター・ピロリと名づけられた細菌です。2人は、胃の炎症や潰瘍がある患者のほぼ全員に、この細菌が存在することを示しました。2人は2005年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。この出来事は、体について定説とされてきた考えでも、注意深い観察によって変わり得ることを教えてくれます。
- 1822: アレクシス・サンマルタンが負傷し、ウィリアム・ボーモントが治療します。
- 1833: ボーモントが胃液についての238件の実験を発表します。
- 1904: パブロフが消化の生理学の研究でノーベル賞を受賞します。
- 1982: マーシャルとウォーレンがヘリコバクター・ピロリを発見し、胃炎や潰瘍との関連を明らかにします。
- 2005: マーシャルとウォーレンがノーベル賞を受賞します。
| 炭水化物が分解されると | 単糖になります。 |
| タンパク質が分解されると | アミノ酸になります。 |
| 脂肪が分解されると | 脂肪酸とグリセロールになります。 |
| 刷子縁の酵素 | 微絨毛の表面で炭水化物とタンパク質の消化を完了させます。 |
| 肝門脈を通る経路 | 糖とアミノ酸は血液で肝臓へ運ばれます。 |
| リンパを通る経路 | 脂肪酸は乳び管に入ります。 |
- タンパク質が分解されると、何になりますか?
- アミノ酸
- 単糖
- 脂肪酸
- グリセロールだけ
- タンパク質の消化はどこで始まりますか?
- 胃
- 口
- 大腸
- 胆のう
- 脂肪酸は吸収された後、どの経路を通りますか?
- 乳び管とリンパ液へ
- 直接胃へ
- 胆のうへ
- 肺から体外へ
- 小腸は1時間に約120 gの単糖を吸収できます。15分間では何gですか?
- 消化管を10 Lが通り、大腸には1 Lが届いた日には、大腸に達する前に何%が吸収されましたか?
- 炭水化物とタンパク質の消化はどこで終わりますか?
- 小腸の刷子縁
- 食道
- 肝臓
- 大腸
- パブロフは1904年、何の研究でノーベル賞を受賞しましたか?
- 消化の生理学
- 目の構造
- 血液型
- ビタミン
- マーシャルとウォーレンが胃炎や消化性潰瘍との関連を明らかにした細菌はどれですか?
- ヘリコバクター・ピロリ
- 大腸菌
- 乳酸桿菌
- 連鎖球菌
- 次の出来事を年代順に並べましょう。
- ボーモントの著書の出版(1833年)からパブロフのノーベル賞受賞(1904年)まで、何年ありますか?
- 炭水化物は単糖に、タンパク質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とグリセロールに分解されます。
- デンプンの消化は口で、タンパク質の消化は胃で始まります。脂肪の消化は主に小腸で行われます。
- 糖とアミノ酸は血液で肝臓へ運ばれ、脂肪はリンパ液中を移動します。
- ボーモント(1833年)、パブロフ(1904年ノーベル賞)、マーシャルとウォーレン(2005年ノーベル賞)。
これは体のつくりとはたらきについての教材です。医学的な助言ではなく、診断や治療に使うものではありません。
このコースの出典 (5)
- OpenStax Anatomy and Physiology 2e, 23.1 Overview of the Digestive System, 23.3 The Mouth, Pharynx, and Esophagus, 23.4 The Stomach, 23.5 The Small and Large Intestines, 23.6 Accessory Organs in Digestion: The Liver, Pancreas, and Gallbladder, 23.7 Chemical Digestion and Absorption: A Closer Look (openstax.org/books/anatomy-and-physiology-2e)
- NIH NIDDK "Your Digestive System & How It Works" (niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/digestive-system-how-it-works)
- history: Britannica "William Beaumont", NCBI Bookshelf NBK459 (Beaumont, 1833 book, 238 experiments)
- PMC6172101 (Beaumont papers, 1822 fistula)
- NobelPrize.org 1904 (Pavlov, Nobel lecture page) and 2005 press release (Marshall and Warren, Helicobacter pylori)
確認日: 2026-10-17