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胃

空の胃は握りこぶしほどの大きさですが、伸びると約4 Lの飲食物を入れられます。

食べ物をためて混ぜる袋

食事を食べ終わるまでの時間は、小腸でその食事を消化・吸収する時間よりもずっと短いものです。この時間差を埋めるのが胃です。食事を一時的にため、消化液と混ぜ、少しずつ送り出します。OpenStaxによると、空の胃は握りこぶしほどの大きさですが、伸びると最大4 L、空のときの体積の75倍を超えるを収められます。空のときは、内壁に胃ひだと呼ばれる大きなひだができます。

胃は4つの部位に分かれます。噴門は食道から食べ物が入る部分です。その上にドーム形の胃底部があり、胃体部が胃の主な部分を占めます。漏斗形の幽門部は小腸につながり、輪状の筋肉である幽門括約筋が出口を調節します。胃壁には、通常の輪走筋と縦走筋に加えて斜走筋の層もあるため、食べ物を力強くかき混ぜられます。

酸、酵素、保護する膜

胃の内壁には、胃腺につながる胃小窩が点在しています。胃腺にあるさまざまな細胞が、それぞれ異なる物質を作ります。壁細胞は塩酸を作り、胃の内容物のpHを約1.5~3.5にします。塩酸は、食べ物とともに入ってきた細菌の多くを殺し、タンパク質の折りたたまれた構造をほどきます。また、主細胞が作る不活性な酵素ペプシノーゲンをペプシンに変え、タンパク質の消化を始めます。壁細胞は内因子も作ります。内因子は小腸でビタミンB12を吸収するために必要です。OpenStaxによると、これは胃の機能のうち、生命の維持に欠かせない唯一のものです。

胃が自分自身を消化しないのはなぜでしょうか。胃には3つの要素からなる粘膜の防御機構があります。まず、炭酸水素イオンを豊富に含む厚い粘液の層が胃壁を覆い、酸を中和します。また、内壁の細胞同士は密着結合でつながり、その隙間から胃液が漏れるのを防ぎます。そして、幹細胞が傷んだ細胞をすばやく補充します。表面の細胞層全体は3~6日ごとに入れ替わります。

3つの分泌段階と、ゆっくりした排出

胃液の分泌は、神経とホルモンによって3つの段階で調節されます。頭相は食べ物が胃に届く前に始まります。食べ物を見たり、においや味を感じたり、思い浮かべたりすると、胃の分泌が始まります。OpenStaxによると、これは条件反射なので、その食べ物が好きな場合や食べたい場合にだけ起こります。胃相は食べ物によって胃が伸ばされると始まり、3~4時間続きます。ガストリンというホルモンが酸の分泌を促します。腸相になると、十二指腸が調節を引き継ぎます。十二指腸がかゆ状液で満たされると、反射によって幽門括約筋が閉じ、胃の活動が抑えられます。主に胃底部で作られるグレリンというホルモンは食前に増え、脳に作用して空腹感を調節します。

胃の中では約20秒ごとに混和波が起こり、食べ物がかゆ状液と呼ばれるスープ状の混合物になります。幽門部には約30 mLが入り、ふるいのように働きます。1回の波で幽門括約筋を通って十二指腸へ送られる量は約3 mLだけです。残りは押し戻され、さらに混ぜられます。胃は通常、食後2~4時間で空になります。炭水化物の多い食事が最も早く出ていき、次がタンパク質です。脂肪の多い食事は最も長くとどまり、6時間以上かかる場合もあります。

背景1822年6月、現在のミシガン州にあるマキノー島で、若い毛皮商人アレクシス・サンマルタンが至近距離から誤って撃たれました。治療に当たったのは軍医ウィリアム・ボーモントです。サンマルタンは一命を取り留めましたが、傷は完全にはふさがらず、胃に通じる穴が残りました。ボーモントは、これまで誰も得られなかった研究の機会だと考えました。その後数年にわたり、穴から胃液を採取して化学者に分析を依頼し、遊離塩酸が含まれることを確かめました。また、食べ物をひもでつるして胃に入れ、消化にかかる時間を測りました。1833年には著書『Experiments and Observations on the Gastric Juice and the Physiology of Digestion』に238件の実験をまとめ、胃での消化が化学的な過程であることを示しました。
ここでは胃の働きを説明します。医療上の助言をするものではありません。
胃ひだ空の胃の内壁にできるひだです。
壁細胞塩酸と内因子を作ります。
主細胞ペプシノーゲンを作ります。ペプシノーゲンは酸によってペプシンに変わります。
ペプシンタンパク質の消化を始める酵素です。
かゆ状液食べ物と胃液が混ざったスープ状のものです。
幽門括約筋1回に約3 mLのかゆ状液を送り出します。
グレリン胃で作られ、食前に増えるホルモンです。空腹感に関わります。
  1. 空の胃には約50 mLが入り、伸びると4 Lまで入ります。4 Lは50 mLの何倍ですか?
  2. 胃の4つの部位を、食べ物が通る順に並べましょう。
  3. 塩酸を作る細胞はどれですか?
    • 壁細胞
    • 主細胞
    • 杯細胞
    • 肝細胞
  4. 胃の内容物のpHはどの範囲ですか?
    • 約1.5~3.5
    • 約7~8
    • 約10~12
    • ちょうど7
  5. 胃で作られる物質のうち、生命の維持に欠かせないものはどれですか?
    • ビタミンB12の吸収に必要な内因子
    • グレリン
    • ガストリン
    • 噴門の粘液
  6. 混和波は約20秒ごとに起こります。3分間には約何回起こりますか?
  7. 1回の波で約3 mLのかゆ状液が十二指腸へ送られるとすると、30 mLを送るには何回の波が必要ですか?
  8. 胃に最も長くとどまるのは、どのような食事ですか?
    • 脂肪の多い食事
    • 炭水化物の多い食事
    • コップ1杯の水
    • タンパク質の多い食事
  9. 食べ物が胃に届く前に始まる胃液分泌の段階はどれですか?
    • 頭相
    • 胃相
    • 腸相
    • 吸収相
  10. 胃の粘膜の防御機構に含まれないものはどれですか?
    • 肝臓からの胆汁
    • 炭酸水素イオンを豊富に含む粘液
    • 細胞間の密着結合
    • 内壁の細胞のすばやい入れ替わり
  11. ボーモントが胃液についての本を出版したのは何年ですか?
ポイント
  • 胃は食べ物をため、混ぜ、ゆっくり送り出します。伸びると約4 Lを収められます。
  • 部位は噴門、胃底部、胃体部、幽門部です。
  • 壁細胞は酸(pH 1.5~3.5)と内因子を作ります。主細胞はペプシノーゲンを作り、これはペプシンに変わります。
  • 粘液、密着結合、細胞のすばやい入れ替わりが胃壁を守ります。
  • 分泌には3つの段階があります。胃が空になるまで約2~4時間かかり、脂肪の多い食事ではさらに長くなります。

これは体のつくりとはたらきについての教材です。医学的な助言ではなく、診断や治療に使うものではありません。

このコースの出典 (5)
  • OpenStax Anatomy and Physiology 2e, 23.1 Overview of the Digestive System, 23.3 The Mouth, Pharynx, and Esophagus, 23.4 The Stomach, 23.5 The Small and Large Intestines, 23.6 Accessory Organs in Digestion: The Liver, Pancreas, and Gallbladder, 23.7 Chemical Digestion and Absorption: A Closer Look (openstax.org/books/anatomy-and-physiology-2e)
  • NIH NIDDK "Your Digestive System & How It Works" (niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/digestive-system-how-it-works)
  • history: Britannica "William Beaumont", NCBI Bookshelf NBK459 (Beaumont, 1833 book, 238 experiments)
  • PMC6172101 (Beaumont papers, 1822 fistula)
  • NobelPrize.org 1904 (Pavlov, Nobel lecture page) and 2005 press release (Marshall and Warren, Helicobacter pylori)

確認日: 2026-10-17